© 2015 itoh yuka
- 2025.03.18 -
センスのない女の隣には
センスのない男がいるのだと
納得する金曜の夜
息子と焼き鳥やのカウンターで
レバーとささみを
わざわざ大人様でと頼みながら食す
枡酒に一升瓶から注ぐスタイルの店で
店員のお姉さんは必死だが
客の女が
もっと勢いよく注いだらどうですか
との一言に精神を圧迫され溢してしまい
舐めればいいのかね
と発言する男の気がしれない
この世は素晴らしいと息子に教えながら
下らないやつも大いにいると
言いたくて我慢して
結局言ってしまうのだが
息子はとうの昔に知ってるようでもある
アナウンサーは
勉強もして愛想も良く器用で
羨ましい存在ではあるが
売春婦ではないし
新入社員を教育しようと
頑張ったが時代錯誤なおじさんが
女衒ではない
弱いものが強く出て
強いものがびくびくする構図は
一見楽しそうだが
強いものもただのサラリーマンだったりするから
なんとも悲しい
結構、君はどうしたい?
せせりを良く噛みながら考える
脳に栄養が行くように
- 2025.03.18 -
身の程がわかってない
と、近親者から言われた
身の程ってなんだろう?
自分でやりたくて
自分でケツ拭く覚悟でいるのに
あれこれ言う人がいる
身の程など意識していたら
今まで生きて来れなかったし
これからも生きていけない
やりたいことをやるために
パスポートなんていらない
はなから国籍も性別も幸も不幸も
海も空も
超えたくて生きているから
- 2025.02.21 -
死ぬ前に会いたい人は誰だろう
死ぬ前に食べたいものは誰だろう
もう、会ったし食べたから
いらないかな
目を閉じれば味がする
舌を出せば風が吹く
感触でいいかな
- 2025.02.14 -
なんにでもなれると思ってた
世界で一番可愛いとパパは言った
親がどんなに子を褒めようと
子は身の程を知っていく
我ただ足るを知るは
美しきこと
諦める理由じゃない
飢えるから
満ち足りるのだと
あなたは死にながら教えた
満腹だと私は少し悲しい
月雲の隙間を掬うように
光を握って
何かすり抜けて
何か吸い付いて
ひらいた手のひらを頬にあてたら
赤ちゃんの柔さだった
- 2025.02.14 -
あなたが私を想ってないとしたら
寂しい
あなたが私を想っていたとしたら
切ない
どこでもドアはないんだよ
出口のない出口なら
壊すしかないんだけど
今すぐに会いたいという夢を見た
© 2015 itoh yuka