伊東友香

ひとりごと

  • - 2025.04.22 -

    もうあまり出歩けなくなった
    母に送ろうと
    咲きはじめた桜の写真を
    せっせと撮る

    電線が邪魔をしないよう
    青空や光がいい塩梅で覗くよう
    気を使う

    あなたの目になって
    旅をするなら
    どこへ行くのかよいだろう

    まずは舞い落ちる桜を追いかけて
    旅に出ようか

  • - 2025.04.22 -

    まるく

    満月みたいに
    まるく包むよ

    君がいるだけで
    楽しくて
    こんなに幸せ

    ありがとう
    って、笑うよ

    丸くくり抜かれた
    月が胸で光る

    愛されてたから、まあいっかって
    色んなときに思えるように

  • - 2025.03.18 -

    探し物

    すぐに物をなくして
    探してばかりいる私は
    その時間の無駄さに
    ほとほと悲しく
    全てを2つずつ揃えたらどうかと思い付く

    ハサミを2つ
    爪切りを2つ
    カッターも2つ
    メジャーも2つ
    リモコンも2つ
    携帯も2つ
    カギも2つ
    パソコンも2つ
    あったら、楽になるだろうか

    ついでに、
    旦那と息子も
    2つになったらどうだろう

    探す手間は省けるが
    面倒をみる手間が増えて
    本末転倒な気もする

    それに、ないからともうひとつを使えば
    ない方はないまま
    見放されて
    忘れられて
    なんだか不甲斐ない

    結果、探し続けるしかないんだろうな
    たったひとつを何度でも

    それがどんなに時間の無駄でも

  • - 2025.03.18 -

    宙ぶらりん

    男はだいたい
    好きな女のためにはあれこれする
    仕事を紹介したり
    食事を奢ったり
    荷物を持ったり
    色々と気を回す

    良かれと思ってやっているから
    余計なお世話と言われると
    面食らう

    気がきかないと叱られ
    頑張って来たのに
    その先へ女たちは移動している

    噛み合わない心を
    身体で解決する勇気もない

    宙ぶらりんで
    目黒川を歩こうか
    桜を待って

    持て余した手のひらに
    花びらが落ちるといいな

  • - 2025.03.18 -

    ふらふら

    責任をすっきりと取れない男の
    意気地のなさを受け止めてしまうくらいに
    わたしは弱くて優しい

    責任を取るのが使命と息巻く男の
    傲慢さをバカにしてしまうくらいに
    わたしは強くて冷たい

    寄り添い合う一瞬が愛しくて
    連れ合う永遠は掴みどころがなくて

    霞のような愛は
    雲に隠れて

    ふらふらしてしまう

Photo ノザワヒロミチ