伊東友香

ひとりごと

  • - 2022.09.06 -

    死体

    美しさを追いかけるのは
    疲れる
    年には抗えないから

    それでも美しく年を取る幻想は
    未来への優しい希望

    細胞が死んでいっても
    笑顔が美しい

    そんな死体..

  • - 2022.09.06 -

    夏の終わり

    もう夏も終わるのかと
    寂しくなる

    暑いと文句ばっかり言っていたのに
    今さら、まんざらでもない気がして

  • - 2022.09.06 -

    楽しいじゃん

    今がずっと続けばいいと
    あなたはいう
    叶わないから切なそうに

    いつだって楽しいじゃん
    と私はいう
    そんなことないからきっぱりと

    こわいけど ちょっと死を心待ちに

    ゆるく衰えゆく夫婦と
    輝きを放ちながら育つ息子を
    面白がりながら

    いつだって楽しいじゃん

  • - 2022.08.19 -

    悲しいストーリー

    絵に描いたようなリゾートで
    束の間の休息
    ずっと昔
    あなたと行った沖縄の海を思い出した
    私は幼くて
    あなたは生きていた

    あの日
    夕日はどちら側に沈んだのだろう
    グリーンフラッシュは見れなくて
    それでも
    わきあがる太陽の赤に染まる空に
    目がくらんだ

    あの時のあなたは
    今の私よりずっと若かった

    人生を悔やんでた
    両親を恨んでた
    自分を蔑んでた

    うつろなあなたを見て
    それほど悲しいストーリーでもないだろ
    と、呆れどこか馬鹿にもしてた

    目の前の夕日に心奪われて
    ただただ美しさに虚しくて
    ワインの味がわからない
    今の私には沁みてくる

    自己憐憫でもなんでもなく
    自分に一番嫌気がさしていた
    どうにもならないあなたの慟哭
    憤りを鎮めるように酔っていた
    あなたの切実さ

    悲しいストーリーはもういらない

    ぼやけたワインを飲み続けて
    今夜は私が海で寝ようか

  • - 2022.08.19 -

    避暑地

    晴れているから 出かけなきゃとか
    海があるから 泳がなきゃとか
    死ぬまでは 生きなきゃとか

    押し付けられるのは 嫌なんだ

    晴れてる日には ベッドの上で
    海風を感じながら 本を読んで
    死にたくなったら 死ねばいい

    飲みきれないシャンパンを躊躇なく開けて
    勿体ないからと飲み干してしまおうか

    酔った瞳に映る夕日が潤んで
    海に溶けたら
    泣きながら夜が来て
    満点の星を見たら
    笑えてきて

    ひとりでも
    ふたりでも
    朝がくる

    私が思うよりずっと自由だと
    鳥が空を飛ぶよ

Photo ノザワヒロミチ