© 2015 itoh yuka
- 2025.08.05 -
母は昔、ジャガーの女と呼ばれていたらしい
在日朝鮮人で成金の父が
毎日のように赤いジャガーを走らせ
母を迎えに行っていたからだ
顔立ちがはっきりした
ドラッグクイーンのように見えなくもない母は
その時、どんな出立ちだったのか
ミンクのコートでも羽織っていたのだろうか
ピンヒールで巻き髪を風になびかせ
父を鼻であしらっていたのだろうか
そのままあしらっていればよかったものを
ジャガーではなく父と事故に遭い
母は苦労の人となる
好き放題に生きて死んだ父の後始末を
笑ってしているようで
時折見せる狂気を
私は盗み見て戦慄していた
さすが、ジャガーの女
負けてはいない
- 2025.08.05 -
入道雲の裏側に
あなたがいそうで
名前を呼ぶ
笑顔も声も思い出せるのに
感触が思い出せない
雲をつかむような人だった
- 2025.08.05 -
なんだって出来るけど
なんにもしないで
夕暮れ
ただ君と手を繋いでいたい
- 2025.08.05 -
モバイルオーダーも
セクハラモンダイも
同じくらい苦手な私が
25歳と対話してみる
無口だね
なんか面白いこと言うから
笑って
- 2025.08.05 -
倉敷コーヒーで
棚に置かれた雑誌を借りて読むと
昔絶賛されていたママタレが
いたことは夢のように姿を消し
新しいキラキラ美女が誌面を埋めている
オシャレで綺麗で子育てしてキャリアアップもして
ステレオタイプのいい女像は未だ健在
女優という名称をNGにする前に
ママタレと呼ぶのをやめたらと思う
誰かの代わりなんていくらでもいる世界で
オリジナリティを発揮するのはなかなか難しい
私は今日
ミニマムなポテサラを作ろうと心に誓う
芋と玉ねぎで
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