伊東友香

ひとりごと

  • - 2022.11.30 -

    詩は私
    詩は夢
    詩は痛み
    詩は過去
    詩は死

    からだの中で
    うごめく泡
    重なり合い上昇する竜巻
    さらわれるあなた
    口づける私

    つかまえた
    ひとつの
    こころ

  • - 2022.11.14 -

    更地になった公園

    新しいものを作り続けるのは
    いいことだろうか
    作っては壊してで、無駄じゃないのか

    更地になった美竹公園は
    もうみんなに忘れ去られた

    追い出された浮浪者のほかにも
    追い出されたものがある

    浮遊した違和感を見ぬふりで
    颯爽と歩く人たち
    行きたいところがあるようにも見えない
    こぎれいな人たち

    今年の春
    黄色い蝶々が浮浪者の肩で休んでた
    浮浪者が足を伸ばしてた
    あのベンチはもうない

  • - 2022.10.19 -

    暗い潔さ

    明日のことが分からないのに
    10年後がわかるはずもなく

    今日したいこともないのに
    1年後にしたいことがあるとも思えない

    愛されているのかも
    愛しているのかも

    名前で括られる関係に確かなものなどなく

    かといって、心に頼れば
    もっと不安定

    揺らいでいることに
    慣れてしまえば
    それさえも、退屈

    退屈だけれど、なんだろう

    心地よい疲れの中で
    怠惰な諦めの中で

    湖に浮かぶオフィーリアのように
    暗い潔さがあるのは

  • - 2022.10.19 -

    かくれんぼ

    せっかくかくれんぼしてたのに
    探してもらえずに
    日が暮れて
    もう夜じゃん

    ひとりばっちで
    どこへ帰ろう

  • - 2022.10.19 -

    近くにあるもの

    そっと見上げて下さい
    近くにあるのに
    気付けないだけなのです

    うろこ雲に透ける茜色の夕空が
    世界を包みこんでいるのに

    そっと感じて下さい
    近くにあるのに
    気付けないだけなのです

    急ぎ足で通り過ぎる街路樹に
    黄金色の金木犀が香っているのに

    そっと見つめて下さい
    近くにあるのに
    気付けないだけなのです

    幼子をあやす母の唇に秘められた怒りと
    それでも小さな手をけして離さない
    決意に似た愛を

Photo ノザワヒロミチ