伊東友香

ひとりごと

  • - 2024.04.16 -

    うつらうつら

    目が覚めた瞬間
    あなたを思う

    部屋の机に置きっぱなしのグラスとか
    枯れそうで枯れない観葉植物とか
    無味乾燥なインテリアとか
    カーテンの隙間からの光に目を細める
    あなたを思い浮かべる

    今日もただ幸せでいてと祈りながら
    会いたいというより遠くて

    もう一度
    うつらうつらしてしまう

  • - 2024.04.16 -

    夫婦

    あんなになんでも話していたのに
    こんなになんにも話さなくなるなんて

    空気というより
    虚無かしら

  • - 2024.04.16 -

    誰に囚われるでもなく
    何に流されるでもなく

    私はわたしとしていればいいのだと
    青空の下で思った

    誰と比べるでもなく
    何と戦うでもなく

    私はわたしとしていればいいのだと
    太陽の下で思った

    生まれてただ死ぬのだから
    食べてただ眠るのだから

    指令を出さずとも
    勝手に前へと出る
    右足と左足に
    感謝と誇りを込めて

    風が吹かずとも
    勝手になびく
    髪と涙を
    ひるがえして

    歩幅を広げれば
    美しい流線が浮かぶ
    ふくらはぎを
    見せつけて

    土の上で
    朝に挑んだ

  • - 2024.03.19 -

    こんな晴れた青空の下で

    こんな晴れた青空の下で
    美しい春日和に
    自分がなぜこうも落ち込んでいるのかと思うとさらに落ちこむ

    こんなに混沌とした世界で
    無駄死にへの慰めもない中で
    自分だけがやけに恵まれ過ぎていると思えば
    さらに落ち込む

    生まれも親も生き方も頭も心も
    ある程度決まってる
    自分で動かせる運命なんて
    たかが知れてる

    だから
    幸せも不幸も
    ない

    喜びも
    悲しみも
    しない

    いくら空が晴れても
    泣きたきゃ泣くよ

  • - 2024.03.19 -

    小骨

    小骨が喉に刺さるけど
    小骨だから
    飲み込んだ

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Photo ノザワヒロミチ