伊東友香

ひとりごと

  • - 2025.02.21 -

    いらないかな

    死ぬ前に会いたい人は誰だろう
    死ぬ前に食べたいものは誰だろう

    もう、会ったし食べたから
    いらないかな

    目を閉じれば味がする
    舌を出せば風が吹く
    感触でいいかな

  • - 2025.02.14 -

    柔さ

    なんにでもなれると思ってた
    世界で一番可愛いとパパは言った
    親がどんなに子を褒めようと
    子は身の程を知っていく

    我ただ足るを知るは
    美しきこと
    諦める理由じゃない

    飢えるから
    満ち足りるのだと
    あなたは死にながら教えた

    満腹だと私は少し悲しい

    月雲の隙間を掬うように
    光を握って
    何かすり抜けて
    何か吸い付いて
    ひらいた手のひらを頬にあてたら
    赤ちゃんの柔さだった

  • - 2025.02.14 -

    どこでもドア

    あなたが私を想ってないとしたら
    寂しい

    あなたが私を想っていたとしたら
    切ない

    どこでもドアはないんだよ

    出口のない出口なら
    壊すしかないんだけど

    今すぐに会いたいという夢を見た

  • - 2025.02.14 -

    血祭り

    女だって、可哀想かもだけど
    男だって、可哀想なんじゃないの?

    男だって、ご都合主義だけれど
    女だって、ご都合主義じゃないの?

    運動会の白と赤の球入れじゃないんだから
    戦う意味はもうないでしょう

    ジェンダー問題も
    恋愛問題も
    カスハラ問題も
    人権問題も
    一緒くたにして
    悪者を
    血祭りにあげて
    楽しんでいるんじゃないの?

    それで、本当に楽しいのは
    誰一人いないのに

  • - 2025.02.14 -

    空っぽの花瓶

    優しくなきゃいけない
    わけでもなく
    綺麗じゃなきゃいけない
    わけでもなく
    強くなきゃいけない
    わけでもなく
    正しくなきゃいけない
    わけでもないのに

    いつも、頑張ってて
    疲れちゃった

    空っぽの花瓶が
    雨に濡れてる

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Photo ノザワヒロミチ