© 2015 itoh yuka
- 2016.07.14 -
自然を越えたいという野望
自然に帰りたいという安穏
相反するふたつのブランコで
揺れる人間
川をせき止め魚を殺して
取り出した美しいダイヤの指輪をして
自家菜園のトマトを収穫する
矛盾の中で微笑めば
カラスがなくよ
- 2016.07.14 -
大事な人たちの死を見送って
命を授かり
お腹の中で育て
この世に生み出す
命の通り道
通り過ぎる
そのときに
残る光がある
何億光年前の
宇宙の光が
瞳に落ちて
未来に宿る
- 2016.07.14 -
すべてを受け入れよう
私も
自然の一部なのだから
- 2016.06.27 -
私じゃない
あの人が
愛されていたかもしれない
あの人じゃない
私が
死んでいたかもしれない
どうしてここにいない人と
ここにいる私がいるんだろう
どうしてここにいる私が
本当だとわかるんだろう
なにもかもが幻想だとして
それでも愛されていればいいのだと
思えるように
抱いて
- 2016.06.27 -
守ろうと
守ろうと
しているもの
投げつけて粉々にしてしまいたくなる
壊れないでと守っても
壊れてしまうくらいなら
自分のこの手で握りつぶしてしまいたい
痛いだろう
手のひらに
ガラスがいっぱい刺さって血が出て
破片が奥へと食い込むだろう
でも、ただ消えるより
残るなら
いいじゃないか
私のせいだと破片をはなさずに
痛みが愛だと口を曲げて笑うよ
不幸になるには
みんな
理由がある
© 2015 itoh yuka