© 2015 itoh yuka
- 2022.11.30 -
元気でいてくれれば
綺麗ごとで、思う
生きていてくれれば
偽善で、思う
あなたが話すことも
歩くことも
食べることも
泣くことも
できないとしたら
死んでくれ
と、わたしは思う?
- 2022.11.30 -
食べ終えてしまえば
もう食べなくてすむと
つい、手が伸びる
むさぼってしまえば
もう抱かなくてすむと
つい、手が伸びる
- 2022.11.30 -
置いてきぼりの子を
守るために
はじめたんだった
なのに
その中にまた置いてきぼりが
出来ちゃったよ
人はすぐ
明るいもの
キラキラしたものに
目が眩むけど
隅っこで静かに
じっと暗闇を見てる
あの子は星の子
- 2022.11.30 -
詩は私
詩は夢
詩は痛み
詩は過去
詩は死
からだの中で
うごめく泡
重なり合い上昇する竜巻
さらわれるあなた
口づける私
つかまえた
ひとつの
こころ
- 2022.11.14 -
新しいものを作り続けるのは
いいことだろうか
作っては壊してで、無駄じゃないのか
更地になった美竹公園は
もうみんなに忘れ去られた
追い出された浮浪者のほかにも
追い出されたものがある
浮遊した違和感を見ぬふりで
颯爽と歩く人たち
行きたいところがあるようにも見えない
こぎれいな人たち
今年の春
黄色い蝶々が浮浪者の肩で休んでた
浮浪者が足を伸ばしてた
あのベンチはもうない
© 2015 itoh yuka