© 2015 itoh yuka
- 2022.11.14 -
新しいものを作り続けるのは
いいことだろうか
作っては壊してで、無駄じゃないのか
更地になった美竹公園は
もうみんなに忘れ去られた
追い出された浮浪者のほかにも
追い出されたものがある
浮遊した違和感を見ぬふりで
颯爽と歩く人たち
行きたいところがあるようにも見えない
こぎれいな人たち
今年の春
黄色い蝶々が浮浪者の肩で休んでた
浮浪者が足を伸ばしてた
あのベンチはもうない
- 2022.10.19 -
明日のことが分からないのに
10年後がわかるはずもなく
今日したいこともないのに
1年後にしたいことがあるとも思えない
愛されているのかも
愛しているのかも
名前で括られる関係に確かなものなどなく
かといって、心に頼れば
もっと不安定
揺らいでいることに
慣れてしまえば
それさえも、退屈
退屈だけれど、なんだろう
心地よい疲れの中で
怠惰な諦めの中で
湖に浮かぶオフィーリアのように
暗い潔さがあるのは
- 2022.10.19 -
せっかくかくれんぼしてたのに
探してもらえずに
日が暮れて
もう夜じゃん
ひとりばっちで
どこへ帰ろう
- 2022.10.19 -
コロナがはじまった
それにも慣れた
戦争がはじまった
それにも慣れた
物価が上がった
それにも慣れた
給与が下がった
それにも慣れた
親が死んだ
それにも慣れた
子供が生まれた
それにも慣れた
年を取った
それにも慣れた
慣れて、慣れて、
いいのは
傷つかないですむこと
慣れて、慣れて、
わるいのは
考えなくなること
人は無意識に慣れて行くから
傷付いてるくらいが
ちょうどいい
- 2022.09.16 -
ずっと見ていよう
何万年、何億年前の輝きが
わたしをなぐさめるから
© 2015 itoh yuka