伊東友香

ひとりごと

  • - 2024.05.07 -

    ともだち

    私が今のあなただったら
    何をして欲しいか考えてみる

    助けられるはずはなくとも
    寄り添うことのぬくもりは
    きっといつも分け合ってきたはずだから

    切実に祈りながら
    遠くても近づいて
    傍にいれたなら
    いつまでも目を見て
    話を聞いていたい

  • - 2024.05.07 -

    魔法

    いつもの世界では
    なんで魔法が使えないの?
    と、息子はいう

    使ってる人いるかもよ
    知り合いにはいないけど
    と、私は答える

    昼は夜にならないし
    壊れたグラスは
    タイムスリープで
    元通りにはならないけど

    魔法使いがいるから
    今がある気がする

    私が使った魔法で
    君は寝るし

    君の呪文で
    私は転ぶし

  • - 2024.05.07 -

    文句

    生きてるだけで
    文句言ってくるんだ

    わたしに、死ねってこと?

  • - 2024.05.07 -

    野焼き

    火を探していた
    私の中に
    いつか今に没頭し転げ落ちた崖で擦れた
    火を探していた

    火を探していた
    あなたの中に
    いつか首を締めた鬼気迫る快楽の幻夢に
    火を探していた

    火が火を燃やし
    火が火を消して

    荒れ野の割れ目に
    小さく生まれた芽をみつけた

  • - 2024.05.07 -

    ジェンダーギャップ

    「家を安心して任せておけない」
    って、男の台詞にギョッとする
    さかなくんと一緒に
    ギョギョギョと言いたい

    海が魚の住処のように
    家は家族の住処だろうに

    海に帰るなら
    海を綺麗に
    家に帰るなら
    家を居心地良く
    するのは利用者の努めでしょう

    男は外で
    女は家で
    みたいな前時代的な価値観に
    動悸がする

    縮まるどころかさらに深まる溝に
    塩やら泥やらを埋め込んで
    傷口がドクドク痛い

Photo ノザワヒロミチ