© 2015 itoh yuka
- 2024.05.07 -
私が今のあなただったら
何をして欲しいか考えてみる
助けられるはずはなくとも
寄り添うことのぬくもりは
きっといつも分け合ってきたはずだから
切実に祈りながら
遠くても近づいて
傍にいれたなら
いつまでも目を見て
話を聞いていたい
- 2024.05.07 -
いつもの世界では
なんで魔法が使えないの?
と、息子はいう
使ってる人いるかもよ
知り合いにはいないけど
と、私は答える
昼は夜にならないし
壊れたグラスは
タイムスリープで
元通りにはならないけど
魔法使いがいるから
今がある気がする
私が使った魔法で
君は寝るし
君の呪文で
私は転ぶし
- 2024.05.07 -
生きてるだけで
文句言ってくるんだ
わたしに、死ねってこと?
- 2024.05.07 -
火を探していた
私の中に
いつか今に没頭し転げ落ちた崖で擦れた
火を探していた
火を探していた
あなたの中に
いつか首を締めた鬼気迫る快楽の幻夢に
火を探していた
火が火を燃やし
火が火を消して
荒れ野の割れ目に
小さく生まれた芽をみつけた
- 2024.05.07 -
「家を安心して任せておけない」
って、男の台詞にギョッとする
さかなくんと一緒に
ギョギョギョと言いたい
海が魚の住処のように
家は家族の住処だろうに
海に帰るなら
海を綺麗に
家に帰るなら
家を居心地良く
するのは利用者の努めでしょう
男は外で
女は家で
みたいな前時代的な価値観に
動悸がする
縮まるどころかさらに深まる溝に
塩やら泥やらを埋め込んで
傷口がドクドク痛い
© 2015 itoh yuka