© 2015 itoh yuka
- 2024.02.06 -
傷つけられて
泣いたのも
愛しすぎて
泣いたのも
あなたに流した涙
いとおかしくて
笑ったのも
皮肉ったらしく
笑ったのも
あなたにこぼした笑顔
そこにいたのは
おんなじふたり
掛け合う吐息に怒声がまじっても
最後まで一緒にいたかった
- 2024.02.06 -
あなたの時間を奪ってるのかもしれない
私の時間をあげているともいえるけど
幾重にも積み上げられた時層は
何色だろう
憎しみと愛おしさが混じって
どんな熱を発しているのか
その色に
その熱に
反応しては
言葉が視線が温度が
一日を織りなしていく
いつか京都の貴船で見た
枝が絡まってほどけない
楓と杉のように
もはやどっちがどっちの手足かわからない
ひとつの化石になるのだろうか
- 2024.01.22 -
水槽の中で
死にそうな魚が泳いでいる
普通、横顔を左に
もしくは右にスイスイと泳ぐはずが
人でいう仰向きとか横向きとかを交えながら
平べったく泳ぐさまは明らかにおかしく
死を間近に感じる
かれこれ、丸二日そんな風で
祈りは虚しく持ち治すわけでもなく
死にそうで死なないのだ
犬だったら
安楽死を考えるところだか
テトラを網で掬ってそのままにしたところで
ただの、魚殺しじゃないのか?
今日のところは
先に寝てしまうが
明日まだ魚が中途半端に生きていたとして
どうしたものか
庭の椿の木の栄養に
なればいいのに
いっそのこと
明日の朝には
- 2024.01.22 -
丁寧なものに強く惹かれる。
真剣に向き合うことに怠けない生き方。
戦後、日常の中に美しさを見つけるのは、今より余程大変だったろう。
だからこそ命を掛けるほどの情熱で、捻り出してでも追い求めることが出来たのかもしれない。
日々の健やかさに気付けない幸せという怠慢は、そろそろ卒業したい。
- 2024.01.22 -
「ママ!」と声がしたから
振り向いたら
他所の家族だった
私はどれだけ
探されたいんだろう
これでも、まだ足りないの?
© 2015 itoh yuka