© 2015 itoh yuka
- 2023.05.15 -
6歳のとき
空を見て綺麗だと思った
46歳の今もそう思う
6歳のとき
世の中は嘘ばかりだと思った
46歳の今もそう思う
6歳のとき
人生は疲れると思った
46歳の今もそう思う
いったいなにが変わったんだろう
こころは驚くほどおんなじだ
嫌なことも好きなことも
嬉しいことも悲しいことも
ひとつだって、変わってはいない
空はそれでいいという
生まれて死ねばいいという
身体という繭に包まれて
こころは悪戯に顔を出す
蝶々のように
とまれば遊ぶ
- 2023.05.15 -
今ごろになって
空が晴れてきた
雲の隙間に青空をのぞかせて
わたしを誘う
いっそのこと
ずっと雨だったらよかったのに
あなたに会いに行けないと
諦めもついたのに
- 2023.05.15 -
汚いも綺麗もない
幸せも不幸もない
正しいも間違いもない
天国も地獄もない
後も先もない
あるのは
わたしがここにいて
繋がるあなたの小さな指先
あなたがそこにいて
ママと呼べば秒速で飛んでくるわたし
- 2023.05.15 -
スニーカーの中の
小石が気になって
脱いで裏返してふってみて
もう一度繰り返す
それでも取れない小石が
小指のあたりに移動した
もぞもぞ指を動かしながら
足の触れない位置へと追いやる
努力も虚しく
また土踏まずのあたりに戻ってきた小石に
意識を取られる
このまま諦めて家まで帰るか
それとも脱いで正体を突き止めるのか
はたして
この小さななにかは
本当に小石なのか
見えてもいないのに
そもそも追い出すことはできるのか
小石への執着で
今日のことを忘れそう
- 2023.05.15 -
多いと少ない方へ
少ない方が多くなってくると
今度は逆に
たいした信念があるわけじゃないけど
疑念はつねに持っていたい
© 2015 itoh yuka