伊東友香

ひとりごと

  • - 2024.08.27 -

    手は

    神さまは平等に不平等で
    目の当たりにするのに
    疲れて

    せめて子供くらいは守りたいと願っても
    弱者こそいたいけな瞳に
    問答無用にシャッターを下ろされて

    なんなんだ?
    と、叫びたくても
    白々しい

    役立たずの誰かの手は
    ここで
    おにぎりを握ってる

  • - 2024.08.27 -

    はずむように

    一緒にいっぱい笑っておけばよかったと
    手遅れになっておもう

    誰かと笑っていただろう
    あなたを思い浮かべる

    失ったあとに気付くのは
    不在の偉大さで
    地球にぽっかり穴が空いたみたいに
    輪郭がはっきりしてる

    なぞるように
    愛しなおせば

    やっぱり
    君は同じ笑顔で

    僕の名前をはずむように呼ぶんだ

  • - 2024.08.27 -

    気配で

    なんで?
    って、聞かないのに
    わかってくれそうな
    気配で

    好きになる
    夏の夕暮れ

  • - 2024.08.27 -

    おかしいだろ

    なんでこんなことになっちゃうんだろう
    なんでこんなことがおきちゃうんだろう

    おかしいだろ

    君がいないなんて

  • - 2024.08.27 -

    笑顔

    同世代の訃報を
    ちらほら聞くここ最近
    同級生が今朝方亡くなったという
    連絡を受けた

    密接というわけではないが
    私よりずっと明るい彼女に
    助けられたことが確かにあった

    思い出すのは
    彼女の結婚式のドレス姿でも
    新居へお邪魔した時のママ姿でもなく

    学生時代
    井之頭公園の帰り道や
    吉祥寺のジョイタイムで
    ダラダラと笑い話をした
    声や仕草やシャイな優しさで
    豪快で実は奥ゆかしい魅力で

    一番に
    笑顔を思い出す

    永遠に笑顔を思い出す

    今も
    笑顔を思ってる

Photo ノザワヒロミチ