伊東友香

ひとりごと

  • - 2023.02.10 -

    離脱

    しなくてもいいことをして
    ああ、今日もまた誰かが
    せっかくの道から落ちる

    次の一歩に低く高揚して
    堕落な自由を手に入れて
    飛ぶんだ

  • - 2023.02.10 -

    きれいな雪

    いつもの都会の景色にへ辟易している私は
    朝起きて明けた窓の外にチラつく雪に
    テンションがあがる

    ぜんぶ白くしちゃえばいいのにね
    コンクリートの道も
    ビルの上のソーラーパネルも
    通勤途中のおじさんの頭も
    ぜんぶぜんぶ白くなればいい

    長靴をはいて歩く私の足取りは
    いつもより軽いんだ

    ぜんぶ止まってしまえばいいのにね
    よく変わる信号機も
    前へならえの電車も車も
    どこかへ行かなきゃと焦る足も
    ぜんぶぜんぶ止まってしまえばいい

    そこで見上げる空の雪に
    まつ毛を濡らして
    なんだ綺麗じゃんって
    思うから



  • - 2023.01.13 -

    恋人たち

    正月からタイミングが合わないね
    さすが私たち

    死ぬまで繋がっているだけの道に
    朝と夜と一年の終わりをもうけて
    新たなふりで頑張ってみようとしてる

    雲ひとつない晴れやかな空の下
    世界平和を誓ってみたりする

    そして、休む間もなく
    キスをしてすぐ
    あやまってすぐ
    抱き合ってすぐ
    メールしてすぐ

    正月からタイミングが合わないね
    さすが私たち

  • - 2022.12.14 -

    帰り道

    あなたは世界は寛容だという
    地球は自由になるために生まれてきたのだと

    風が吹いてもイラつく私を横目に
    縦横無尽に走りまわる

    鳥が空を飛ぶ
    蟻が巣へ帰る
    愛は愛を探し
    私は手を伸ばす

    帰り道
    遠くても近くにいると
    今夜も月があの人を連れてくる

  • - 2022.12.14 -

    待てと言われて
    走り出したっていい

    高いところが好きで
    必ず登る君の瞳に
    映る空があるよ

    怪我をしても
    光が見えたでしょう

Photo ノザワヒロミチ