© 2015 itoh yuka
- 2016.06.27 -
私じゃない
あの人が
愛されていたかもしれない
あの人じゃない
私が
死んでいたかもしれない
どうしてここにいない人と
ここにいる私がいるんだろう
どうしてここにいる私が
本当だとわかるんだろう
なにもかもが幻想だとして
それでも愛されていればいいのだと
思えるように
抱いて
- 2016.06.27 -
守ろうと
守ろうと
しているもの
投げつけて粉々にしてしまいたくなる
壊れないでと守っても
壊れてしまうくらいなら
自分のこの手で握りつぶしてしまいたい
痛いだろう
手のひらに
ガラスがいっぱい刺さって血が出て
破片が奥へと食い込むだろう
でも、ただ消えるより
残るなら
いいじゃないか
私のせいだと破片をはなさずに
痛みが愛だと口を曲げて笑うよ
不幸になるには
みんな
理由がある
- 2016.06.27 -
優しさを探していたら
見つからなくて
俯いたら
下に
落ちていた
誰かが捨てた優しさが
靴跡まみれで萎びてる
あなたの?
わたしの?
汚れた優しさでも
拾うから
もう一度取り戻して
- 2016.06.27 -
誰だって傷口がある
ないふりをしているだけで
気づかぬふりをしているだけで
ちょっとしたきっかけで
掻き毟り血があふれ出し
それでも足りなくてのた打ち回る
綺麗なものなんて嘘だ
茶番なんていらない
抉っても抉っても残る骨が
真実なら見せてくれ
- 2016.06.27 -
人がどう思ってるかが問題じゃない
真実なんてわからずじまい
問題なのは
私が
変に思われてると
感じてしまうこと
引け目から膿が出て
腐りはじめてしまうこと
© 2015 itoh yuka