伊東友香

  • - 2015.08.05 -

    木陰に見え隠れする
    一匹の子猫

    近づこうとすると逃げ
    遠ざかるとそこにいる

    お腹が空いているのか
    人恋しいのか

    こちらの解釈しだいだが
    とても気まぐれ


    逃げては悲しいので
    近づけないもどかしさ

    いつか抱っこさせてくれないかい?
    無理にとは言わないから



    やっと手から餌を食べた
    野生の子猫

    食べたらすぐに
    走り去って行った


    夕暮れになり
    お腹がすいたら
    またおいで

    誰かに苛められて
    この世を恨みそうなときも

    夜になって
    肌寒かったら
    またおいで

    誰でもいいから
    あたたかな手に包まれたいときには

Photo ノザワヒロミチ