© 2015 itoh yuka
- 2016.01.08 -
去年のお正月
あなたは生きていて
わたしはみんなで集まるのを
面倒だと思った
あなたは日に日に弱っていくのに
お酒をやめず
相変わらず自暴自棄で
でも、時折冷静な目で家族を諭す言葉は
悲しいやさしさに満ちていた
来年、俺はいないかもしれないけど
母を大切にと言ったよね
本当にその通りになって
一番驚いたのは
あなたかもしれないね
うすうすわかっていることと
現実になってしまうことの間には
生と死ほどの
天と地ほどの
隔たりがある
やるせない思いは
あなたも同じ
いつか酒を酌み交わし話したい
あけましておめでとう
あなたの命は
わたしが引き継ぐ
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