伊東友香

ひとりごと

  • - 2025.04.22 -

    もう忘れるのも時間の問題だけれど
    生きることの餌になってくれた人がいる

    小学校のときに味方してくれた先生とか
    中学校のときに父が死んだ私を心配して電話番号を手渡してくれた先生とか
    高校生のときに口説いてきた先生とか

    公園で出会って遊んでくれた男とか
    お金がないときに服も食べ物も寝床も用意してくれた男とか
    優しい顔で人を騙す美魔女とか

    子連れの私に親切してくれたおばあちゃんとか
    道端の倒れた植木鉢を誰にも気付かれずに直せた自分とか
    亡くなった友達の遺品のリボンがいい香りで風になびいている朝とか

    私は花を食べて生きてきたから
    灰は大地に帰っていく

    恩返しにはならなくても
    誰かの餌になるんだ

Photo ノザワヒロミチ