伊東友香

ひとりごと

  • - 2025.02.14 -

    柔さ

    なんにでもなれると思ってた
    世界で一番可愛いとパパは言った
    親がどんなに子を褒めようと
    子は身の程を知っていく

    我ただ足るを知るは
    美しきこと
    諦める理由じゃない

    飢えるから
    満ち足りるのだと
    あなたは死にながら教えた

    満腹だと私は少し悲しい

    月雲の隙間を掬うように
    光を握って
    何かすり抜けて
    何か吸い付いて
    ひらいた手のひらを頬にあてたら
    赤ちゃんの柔さだった

Photo ノザワヒロミチ