© 2015 itoh yuka
- 2022.08.19 -
絵に描いたようなリゾートで
束の間の休息
ずっと昔
あなたと行った沖縄の海を思い出した
私は幼くて
あなたは生きていた
あの日
夕日はどちら側に沈んだのだろう
グリーンフラッシュは見れなくて
それでも
わきあがる太陽の赤に染まる空に
目がくらんだ
あの時のあなたは
今の私よりずっと若かった
人生を悔やんでた
両親を恨んでた
自分を蔑んでた
うつろなあなたを見て
それほど悲しいストーリーでもないだろ
と、呆れどこか馬鹿にもしてた
目の前の夕日に心奪われて
ただただ美しさに虚しくて
ワインの味がわからない
今の私には沁みてくる
自己憐憫でもなんでもなく
自分に一番嫌気がさしていた
どうにもならないあなたの慟哭
憤りを鎮めるように酔っていた
あなたの切実さ
悲しいストーリーはもういらない
ぼやけたワインを飲み続けて
今夜は私が海で寝ようか
© 2015 itoh yuka