© 2015 itoh yuka
- 2016.09.26 -
お腹の中に命が宿って
9ヵ月が経った。
最初のころは新緑の緑のように
水を浴びるように飲んでいた。
今は秋のはじまりの日差しのように
落ち着いてきたかもしれない。
大きくなったお腹をふわっとあたためながら
日々を過ごしている。
何万年も続いてきたこと。
どの生き物も営んでいること。
とはいえ、人間の雌として現代社会の中で
本能が覚醒するタイミングをはかりかねながら
生きてきてしまった私が子を産み落とすミッションは
なかなかに大変である。
大変だけれど、もちろん嬉しい。
はじめてのことをするのはドキドキする。
そして、そのあと数十年と続くだろう子の親という立場も
大変だろうとは思うけれど、心から楽しみだ。
私は女である前に人間で、人間である前に動物。
けれど、それをすべて超越して
今は妊婦であり、母である。
海みたいな、宇宙みたいなもん。
お腹の中で命を育てる、地球。
あと少しで顔を合わせる生命体に
どんな顔で挨拶を交わそうか。
どうぞ、よろしく。
産まれてきてくれてありがとう!
と口づけからはじめよう。
© 2015 itoh yuka