伊東友香

歩き出すその前の、わたし

つらい時、助けてくれるものはなんでしょう?
人であり自然であり時であり自分であり、
あとは愛された真実でしょうか・・



探しもの

あなたに会える場所を探す
テレビの中
空の上
パソコンの電波
拙い詩

あなたに繋がる場所を探して
疲れて
笑って
死にたくて

今日が終わるよ



これから

昨日まで笑ってた
その笑顔が
昨日までひとつになってた
その体が
忽然と消えて
実感をともなって
私を襲う

心だけは
残っているかもと探すけど
なにも見えない

愛する人を突然なくす悲しみとは
どんなものなのか

まだ、私にもわからない

これから
知っていくのが
こわい



つづき

つづき
があるのは残酷だ
希望という名の
試練じゃないか





悲しみには限がないのかな
泣いても泣いても
涙が出るんだ

愛してる
変わらないその想いを抱いてできるのは
もう泣くことだけなんてね



宇宙

生まれたことが
いつかもう一度
心から嬉しいように

あなたがとけた宇宙を見ながら
祈るよ



月明かり

あんなにもあった
離したくないものが
今 ひとつも見当たらない

なにも恐くない
なにも欲しくない

うわまわる孤独が
優しさに横たわる

微笑めば
月明かりが
手のひらに
おちてくる



セックス

この世にいないはずのあなたとセックスして気持ちよくて泣いた



誰の歌

手がない
足がない
顔がない
胸がない
声がない
息がない
命がない

地球になにもなくなった

暗闇で揺れる篭

産み落とされたひなどりが
忘れ去られたひなどりが

餌を求める
目も開けずに
羽を閉じる
空を知らずに

暗黒から聞こえるのは・・
誰の歌?



春を待つ

あなたに出会えて
神様に感謝した
あなたを奪った
神様にあきれた

愛してくれた
あなたに感謝した
ひとりで先に逝った
あなたに怒った

いろんな感情が
流れのない海のように
今 どこまでも広く横たわる

水鳥なら
ここで
毛づくろいをしながら
春を待とうか

あなたも神もいない
この場所で

ただ時折おりる木漏れ日をうけた水面が
きらきらと光るのを
ぼんやり見ながら

春を待とうか



私の中

私の中にあなたが生きてる
私が笑うとあなたも笑う

あなたを笑顔にするために
たくさん笑おう

あなたのために生きよう



continue

愛されたなら
信じられたなら
愛するしかない
裏ぎりようがない
夢であったなら
光であったなら
堕ちていきようがない
輝きをこわせない

してくれたことの続きを
願ってくれたことの続きを
不器用にも
背負っていく

あなたに大事にされた私を
蔑ろになんてしない

できる精一杯をして会おう
いつの日か
よく頑張りましたと言われるために
ね!

Photo ノザワヒロミチ